一ミリの大きさ


こんばんは、シルバームーン彫金工房、大塚です。

早いものでアクセサリーを作ることを生業として二十数年が経ちます。
もう慣れてしまっているので普段はそんなでもないのですが、この世界での大きさの尺度が日常生活とはだいぶ違っていることを時々思い出すように感じることがあります。

アクセサリーは基本的に小さいものが多いので、必要な尺度も小さいものになります。
したがって、日常ではほとんど気にかけることもない、一ミリという単位がとても大きいものになってきます。

日常では「1ミリ」という単位はとても小さいもの、という認識ですが、例えば、指輪の幅でも厚さでも、三ミリのものと二ミリのものでは見た感じも身につけた感じもかなり違います。
セットする天然石も、四ミリと三ミリの石では大きさはずいぶん違うものです。

2ミリと3ミリの幅のリング
2ミリと3ミリの幅のリング

 

1.5ミリのルビー、2.5ミリのシトリン、3ミリのサファイア、4ミリのムーンストーン
1.5ミリのルビー、2.5ミリの、3ミリのサファイア、4ミリの

 

100分の1ミリとは言わないまでも、10分の1ミリ程度の差は十分認識して作っています。
1ミリの差があると完全に別のもの、というスケールなのです。
作っている間はまるで小人の国にいるようなものといったらファンシーすぎるでしょうか。

爪の先ほどの草花や生きもの、砂粒のような宝石達が織りなすこの世界は、繊細で儚くて、でも確かなものです。
その確かさを裏打ちするために、0.1ミリ単位での微調整が必要になる場合が出てきます。
大きさや形がしっくりこなくて、修正を繰り返したり、自分で納得できる形が得られず、初めからやり直したりして時間をかけることも多々あります。
そこには1mmが大きすぎる世界が広がっています。

 

5ミリ程の草花と鳥、1.5ミリと2ミリの天然石
5ミリ程の草花と鳥、1.5ミリと2ミリの天然石
3〜5ミリのキノコ
3〜5ミリのキノコ ※ネットショップ未発売

 

 

 

 

フォロー 大塚 貴:

1967年 東京生まれ神奈川育ち。 シルバームーン彫金工房のオーナーであり、デザインから制作の仕上げまでをすべてひとりで手がける職人でもあります。

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