工房の道具 彫刻台 ヤニ台


工房では、メインの彫金用の机の反対側に普通の机をおいて彫り、石どめ用の作業机としています。

今回紹介するのはその作業机に置いてある、彫り、石どめをするときに指輪を固定するための工具、彫刻台と呼ばれるものです。

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彫り、石どめのような作業のときには、まずは動かないように固定してはじめて作業が可能になります。
そこで彫刻台が必要になるのです。

指輪を固定して使いやすい様に動かしながらタガネを使って彫ったり、石を留めたりするのに使います。
彫りのときなどはけっこうな力がかかるので彫刻台自体はかなり重いものになっています。

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ペンダントなど平らなものはこれにはさむことができません。そこで使うのがヤニ台です。

鉄のボール状の入れ物にヤニと呼ばれるものを満たしてあります。
これは松ヤニ、地の粉などを原料とするもので江戸時代あたりから同じようなものが使われています。
対象物をおいて熱をかけるとヤニはとけて周りを覆っていきます。その後自然に冷却することでヤニが固まり固定できます。

作業が終わったらまた熱をかけて柔らかくすればすぐにはずせます。

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彫刻台に小さいヤニ台をセットして使うこともあります。
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今までこれらを使って数えきれない程の彫りや石留めをしてきました。
その数だけお客さまの笑顔につながったのかなと思うと、あらためて身の引き締まる思いがします。
彫刻台、ヤニ台は当工房の特徴である手彫り加工のために絶対に必要な工具なのです。

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フォロー 大塚 貴:

1967年 東京生まれ神奈川育ち。 シルバームーン彫金工房のオーナーであり、デザインから制作の仕上げまでをすべてひとりで手がける職人でもあります。

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