工房の道具 バーナー


今回紹介するのはガスバーナーという道具です。
ガスで火をつけて圧縮した空気を送ることで、火に勢いと方向性をあたえます。

これで地金を熱して接合したり、なましたり、溶かしたりします。

うちでは二つの種類のバーナーを使います。
普通のガスバーナーと酸素バーナーというものです。

ガスバーナー 1
ガスバーナー 1
ガスバーナー 2



酸素バーナーとは空気の代わりに酸素を送ることで、より高い温度が得られるバーナーです。
プラチナなど融点の高い金属の接合や、サイズ直しのときにも使います。

酸素バーナー 1
酸素バーナー 2



金属の接合はロウ付けという技術を使います。
ロウ付けとは例えば銀の場合なら、銀ロウという普通の銀よりも融点の低い銀の合金を熱して、地金の溶ける前にロウを溶かして、地金同士を接合することです。

なましとは硬化した金属を、バーナーを使って熱することでやわらかくすることです。
金属は加工硬化といって、加工の過程で力が加わると硬化する性質があります。
硬化した金属をやわらかくする必要のある場合にはバーナーで火をかけて、なますことになります。

金属の端材を再生するときには、溶かすことが必要になります。溶かした金属を型に流し込んで形にする他、型は使わずに玉状にした金属を叩いて延ばし使うこともあります。

このようにいろいろな用途があるので、工房にとってなくてはならないもので、一日使わないという事はほぼ無いたいせつな道具です。

 

 


銀の端切れを準備して、バーナーの火を当てます



最初は真っ赤になるだけですが溶けるとキレイな球状になります


アップにしてみました。つるつるです。


冷やして銀の玉のできあがり。これを叩いて伸ばして形作ります。この状態では真っ黒ですが、磨けばシルバー色が綺麗に出てきます。

 

フォロー 大塚 貴:

1967年 東京生まれ神奈川育ち。 シルバームーン彫金工房のオーナーであり、デザインから制作の仕上げまでをすべてひとりで手がける職人でもあります。

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