手彫りアラベスクとダイヤのリングTOR13ができるまで。


こんばんは、シルバームーン彫金工房、大塚です。

お客さまに「これはどうやって作るんですか」と聞かれることがあります。
こういう仕事を長くしていると、自分としては普通に作っていると思ってしまいがちですが、当然お客様は分からないですよね。
なので人気のものとか個人的に気に入っているものについて、どのようにデザインができて、実際どんな風に作っていくのかなどを書いてみようと思います。

 

手彫りアラベスクとダイヤのリング TOR13 誕生秘話

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まずはシルバームーン彫金工房の第一号の商品である、小さなを手彫り模様がかこんでいるデザインのリングです。

独立した十五年前、当初は前にいた会社から引き継いだ商品などを作っていたのですが、オリジナル商品を作ろうと思って、いろいろ試行錯誤していました。

伝統工芸の技術である手彫り模様を生かそうと、バングルなど少しづつ作っていたのですが、これというのがなかなか出来ませんでした。そんな中、小さなダイヤモンドを留めたリングを作り、シンプルでくせの無い模様を合わせて彫ってみたところ、とてもすっきりとおさまってくれて上手く形になりました。
また彫った後に地の部分をつや消しにすることで、彫ったラインだけにつやが残って強調されることに偶然気付き、その仕様で最終的に完成しました。

出来上がりはシックで上品な雰囲気と、小さいながらもダイヤの華やかさもあり、とても気に入りました。彫り模様をあっさりさせたことが良かったと思います。

 

こんな風に作ります

1. まずはベースのリング作りから。

リングの幅の銀の板を作るサイズの長さに切って丸め、両端をロウ付けしてつなぎ、リング状にしてから形を整えます。

リングの作り方1
シルバーの板。これがリングのもとです。
リングの作り方2
きれいに丸めて…
リングの作り方4
口をロウ付けします。
リングの作り方5
出来上がり。

これが基本的なリングの作り方です。この後に様々な彫りなどの仕事を施していきます。TOR-13はダイヤのセットとアラベスクの手彫り模様ですね。

2. TOR-13のデザインの仕事

リングにマジックでダイヤの位置と彫る模様を描いておき、ダイヤがおさまる穴を作っておいてから石をセットします。下書きはごく普通のマジックなんですよ。これも自分では当たり前の事ですが、びっくりされることも多いです。

リングの作り方5
マジックで下書きします。
リングの作り方6
ダイヤを入れる穴を開けます。

その後周りに四カ所彫りを入れて、彫られていった地金を爪にして石を留めます。彫り留めという技法です。
そして手彫りで模様を入れていき、最終的な磨き加工のあと改めて表面をつや消しにして完成となります。

リングの作り方7
模様彫り

 

これで完成です

手彫りアラベスクとダイヤのリング TOR13
完成

シンプルだけど手間はかかっていて、他に無いものという、まさに当店らしい商品となりました。

当店の顔とも言える代表作が、一番始めの商品としてできたのは、とても幸運なことでした。
当時から好評で、今でもそれは衰えません。自分でも気に入っているロングセラーの人気商品です。

手彫りアラベスクとダイヤのリング/細

 

 

 

 

 

フォロー 大塚 貴:

1967年 東京生まれ神奈川育ち。 シルバームーン彫金工房のオーナーであり、デザインから制作の仕上げまでをすべてひとりで手がける職人でもあります。

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