これまでの道のり~四年目のご挨拶にかえて~


こんにちは、シルバームーン彫金工房、大塚です。

今ネットショップと実店舗で四周年記念を開催しています。
正確に言うと今日でちょうど四周年を迎えました。四周年、長かったような短かったような、なんとも言い難い心境ですが、これまでやってこられたのは、お客様のおかげだと思っています。日々感謝しております。ありがとうございます。四周年のご挨拶にかえて、お店を開くまでの経緯を書いてみようと思います。

 

なんとなくで始めた彫金

もう二十数年前のことになります。なにか違うという漠然とした理由で通っていた大学を中退してしまったのですが、かと言ってなんのアテもありませんでした。ただこれも漠然と、何かを作る仕事をしてみたいとは思ってはいました。

いろいろな作る仕事について調べているうちに、彫金をやってみようと思うようになりました。なぜ彫金なのかは、今ははっきり思い出せません。工芸は好きだったのですが、手先が器用なわけではなく、特に作りたいものをイメージしていたわけではありませんでした。

何にせよ、とにかく技術が無ければということで、彫金の専門学校に通うことにしました。 ただしアルバイトをしながら、週に二日だけのコースにしたので、専門学校というよりのような感じでした。

 

シルバーアクセサリーメーカーに就職、そして突然の倒産

基礎を学んだ後、求人情報誌で見つけた小さなシルバーアクセサリーメーカーに就職しました。今はだいぶ少ないようですが、当時はまだこういう求人も少しはあったんです。
それにしても、幸運にたまたま拾ってもらったような形でのスタートでした。

また、この会社では顧問だった伝統工芸の作家(泉公士郎氏)に師事することができて、五年ほど日本の伝統工芸の彫金を学ぶことができました。この事はその後の自分のものづくりに、とても大きな影響をもたらしました。

ところが、製作の仕事を会社員としてやっている中、突然その会社が倒産してしまったのです。
入社して六年目のことです。

ある日出社したところ、ドアに倒産を知らせる張り紙があったのです。知らされていなかったので何が起こったのかもわからない状況でした。

これからどうしようかと途方に暮れていたのですが、関連のシルバーアクセサリーの会社に居候のような形で寄せてもらうことができました。会社の工房の空いていた机や、その他設備を無料で使っていいと言ってもらえたのです。これもとても幸運なことでした。
両方の会社を知っている人が先方の会社に頼んでくれました。このお口添えがなければ今のシルバームーン彫金工房はなかったかもしれません。このこともとても感謝しています。

 

思いもかけない独立

独立して仕事をするということを全く考えていなかったのですが、こうして背中を押されるようにして独立することになりました。
家賃も無料、工房の設備も使わせてもらってのことだったので、なんの準備もなく始められました。その上その会社の仕事も手伝わせてもらっていました。 今思い出しても本当にありがたいことでした。
しかも、とても楽しく過ごさせてもらったのです。今でもその会社の社長をはじめ社員の方達にはとても感謝しています。

そこで二年ほどお世話になっていたのですが、他のメーカーからも仕事を頼まれるなど仕事量も増えてきたので、あまり甘えているわけにいかないだろうということで自分の工房を千駄ヶ谷に開きました。
お世話になっていた会社と、もう一社多くの仕事をしていた会社、さらに最初に務めた会社からも近い場所です。

名前を決めなければということで、シルバームーン彫金工房という名前をつけました。
名前の由来は以前ブログ(「シルバームーンの意味」)に書きましたので、良かったらご覧下さい。

その後は他社の製作の手伝いをしながら、自分のオリジナル商品を少しずつ作っていきました。 以前から仲良くしてもらっていた同業の会社がシルバーアクセサリーの店を始めたので、そこに自分の商品を出させてもらったり、お世話になっていた会社に店を紹介してもらったりで、オリジナル商品の卸しがすこしずつ広がっていきました。

そんな風にして千駄ヶ谷の工房で11年やっていました。 途中で結婚して、嫁(店長)がホームページを作ってくれて、ネットでの販売も始めました。

 

渋谷から町田への引っ越し

その後工房の入っていたビルが道路拡張により取り壊されることになって引っ越さなければいけなくなりました。
どうせなら工房が付属している店舗をやってみたいと思ってたこともあり、嫁も手伝ってくれるということで二人の地元である町田に店舗兼工房を開きました。それが、四年前、2010年7月のことです。

それまでは卸だけだったので、実際にお客様と顔を合わせることがとても新鮮で嬉しかったことを思い出します。作って売るというシンプルな形が理想だったんだと改めて気づかせて貰いました。

 

こうして振りかえってみると、周りの方々の恩情に支えられて、なんとかやってこられたように思います。
また、自分の作ったものを自店舗で販売するという一番の形に向かって、自然と歩んできたような気もします。
やはりお客様に喜んで頂いているのを目の前で見られるのは、この上ない喜びです。
これからも皆様に喜んでいただけるもの、自分が作りたいものを作り、長く続けていけるように頑張っていきたいと思います。

これからもシルバームーン彫金工房を宜しくお願いいたします。

I can never thank you enough !!

 

 

 

 

フォロー 大塚 貴:

1967年 東京生まれ神奈川育ち。 シルバームーン彫金工房のオーナーであり、デザインから制作の仕上げまでをすべてひとりで手がける職人でもあります。

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