こんにちは、シルバームーン彫金工房、オーナーの大塚です。
銀を主として、その他プラチナや金を使ってのアクセサリー作りを仕事として、もう二十数年になります。
その間に銀の性質、加工上の特徴などを目の当たりにして、銀の独特な面白さを知るようになりました。
古代文明で必ずといっていいほど使われている金や銀。
美しい輝き、劣化しない、人工的に作り出せない、希少性…など様々な魅力がありますが、加工の過程で出た端材などを熱して溶かし、また一つのかたまりとして再生できる、というのは銀に限らず金属の特徴の一つです。
そこで使うのがアケ型という、溶かした金属を流し込む型のようなもの。
たて型のものとよこ型のものがありますが、たて型のものは円柱や四角柱の空洞に垂直に流し込み、よこ型のものは長方形のスペースに横に広がるように流し込むという使い方です。
簡単な鋳造をするための道具ですね。
これを使って、細かくなってしまって使いようのない金属の端材などを、棒状やかたまり状にまとめて、そこから叩いたりローラーにかけたりして必要な形にしていきます。
金属の加工を始めたばかりの頃は、銀を叩く作業をしていて意外なほどの柔らかさに驚いたものです。
金属なので硬いは硬いのですが、なました直後の銀を金づちで打ち延べると、面白い様に延びてくれます。
なましとは、加工の過程で硬くなっていく金属に火をあてて、再び柔らかく加工しやすくするための作業です。
この一連の作業によって、使い道のない端材をまた必要な形に蘇らせることができるのです。
このことは、高価な貴金属の加工をする時にとてもありがたいことです。
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